外壁塗装というと「外壁」や「屋根」の塗装ばかりに目がいきがちなもの。とはいえ実は、はがれやすい木部や鉄部の塗装や、クラック補修、サビやカビの処理などの“下地”が重要なのです。
今回は、外壁塗装で見落とされがちな下地処理の詳細についてご紹介しましょう。
伸縮性がある木部は、特に塗装がはがれやすい部分。
それだけに、木部に適した塗料を使用する必要があります。
木部用の塗料は、「造膜タイプ」と「含浸タイプ」の2種類に分けられます。
表面を塗膜で覆う「造膜タイプ」の塗料は、虫や、水分による腐食、カビの影響から守る保護力の高さが特徴です。
しかし、木の質感が失われてしまうことや、木部の伸縮により塗膜が破れ、剥がれやすくなるという短所も。
内部に浸透し保護する「含浸タイプ」の塗料は、木部の伸縮による影響がないという特徴があります。
木の質感を損なわず、施工も簡単です。
しかし、「造膜タイプ」に比べて保護力が弱いので、こまめなメンテナンスが必要となります。
保護力を高めるためには、防虫や防腐、防カビ効果を高めた「含浸タイプ」の塗料を使用します。
鉄部の塗装は、経年劣化や地震の影響によって塗膜にひび割れが生じます。
そこから雨や湿気の水分が侵入し、鉄と反応することでサビが生じてしまうのです。
サビの発生と共に「腐食」も進行していくので、放置しておくと建物の躯体部分まで影響が及んでしまう可能性も。
そのため、鉄部はこまめなメンテナンスが必要となります。
鉄部を塗装する前に、サビを落としたり、サビを発生しにくくする下地処理を行います。
サビを落とす方法としては、「ケレン作業を施す」、「酸を用いた洗浄」、「酸素と水を遮断する補助剤を使う」という3つの方法があります。
ケレンとは、サンドペーパーやサンダーなどでサビを研磨して除去したり、サビを予防したりする下地処理のこと。一般的には、主に次の3つの方法で行います。
ケレン2種(劣化塗膜ケレン)
鉄骨構造の建物で、サビが発生している面積が30%以上と広範囲の場合には、「ケレン2種」で対応します。
「ケレン2種」では、ディスクサンダーやワイヤーホイールなど、強力な電動工具を使用して、サビによる腐食と同時に、劣化した古い塗膜を取り除きます。
「ケレン2種」の価格相場は4,000円程度です。
酸を用いた洗浄には、リン酸を主成分とした「脱サビ剤」などを使用します。リン酸が鉄と反応してリン酸塩となり、「皮膜」をつくることで、赤サビの発生を防ぎます。
ケレンで対応しきれない場合や、特にサビやすい部位では、酸素と水を遮断する補助剤でサビを防ぎます。
酸素や水を遮断することでサビを固め、サビの発生と進行を防ぐ効果があります。
主流は「2液型の特殊変性エポキシ樹脂系塗料」で、約4時間と乾燥硬化が早いのが特徴です。
鉄部の下塗りには、「サビ止め用塗料」を刷毛やローラーで塗装します。
「サビ止め塗料」は、「油性系」と、「フタル酸樹脂」「エポキシ樹脂」「ウレタン樹脂」などの「合成樹脂系」の2種類があります。
「油性系」のサビ止め塗料には高い防サビ性がありますが、乾燥に長い時間がかかります。最近では、作業能率の問題から、使用される機会が減っています。
中塗りと上塗りには、下地を保護する塗料を使用します。
様々な塗料がありますが、価格を抑えるなら「ウレタン系塗料」、耐久性を高めるなら「シリコン塗料」や「フッ素系塗料」を使用する場合が多いようです。
ウレタン系塗料・シリコン系塗料・フッ素系塗料の3種類を使用した場合、中塗り&上塗の価格相場は12,000~40,000円となります。
優良な外壁塗装業者は、下地処理にも手を抜きません。
外壁塗装をお考えの方は、木部や鉄部の下地処理の詳細についても、しっかりと確認しましょう。
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